夫に先立たれ、自分一人で暮らしを立てて子を育てなければならない單四嫂子。

病気の子を抱え、おみくじや願掛けをしながら「明日になったら治るかもしれない」と考えるのは、彼女の感じが鈍いからか、貧しい立場がそうさせるのか。

夫を亡くした後家の單四嫂子は、糸紡ぎをしながら女手一つで小さな子を育てている。

糸紡ぎの音がぱったりとやんだのは、病気の子の看病のためだった。

おみくじも願掛けもして、薬も飲ませてみたが効かない。

しかし、明日になったら治るかもしれない——。

いよいよ子の容態が悪くなり、節約して貯めたお金を持って何小仙先生のもとへ行く。

ようやく診てもらうがすでに遅く、子は息絶えてしまった。

一人になった部屋はがらんとして、とても静かで広すぎる。

魯迅（ろじん）

1881-1936

中国の文学者、思想家。

代表作に、「阿Q正伝」「明日」「兎と猫」「鴨の喜劇」

「狂人日記」「故郷」「吶喊」「幸福な家庭」などがある。