エンヴィーの人生は素晴らしいものだった。

素晴らしい兄、素敵な彼氏、そして女の子が求めてやまない、最高の仕事――エンヴィーは、街一番の人気クラブのバーで、接客をしていた。

少なくとも、親友の一人から電話を受けるまでは、素晴らしい人生だった。自分のボーイフレンドが、ムーン・ダンスクラブのダンスフロアで、女の子ととてもセクシーに踊っていたというのだから。

彼氏と向き合うという決断によって、ありふれた平凡の下に隠された、危険で超常的な世界へと彼女をいざなう、一連の出来事が起こり始める。

人がジャガーに姿を変え、本物のヴァンパイアが街を徘徊し、堕天使が人に紛れて闊歩する世界。

デヴォンは少しばかり荒っぽい性格の、ジャガーの獣人で、ムーン・ダンスの共同オーナーの一人である。

赤毛の魅惑的な女性が、不信感をあらわに、銃式のスタンガンを忍ばせて、自分の店で踊っているのを見かけたことで、デヴォンの世界は大きく傾いた。

ヴァンパイア戦争が激化する中、デヴォンはこの女性を自分のものにすることを誓い――彼女を手に入れるため、死に物狂いで戦う道を選択する。